「聖パトリックの祝日 (セント・パトリック・デイ)」



バーにはクローバーのマークが



5番街のパレード

 

 

3月17日、ニューヨークは緑色に染まった。全身緑の服装、緑のペイントを顔に塗り、緑色のクローバーのシールを貼り付けた人々がストリートに溢れている。そう、今日は「セント・パトリック・デイ」。アイリッシュ(アイルランド人)の年に一度のクリスマスよりも大切なお祭りの日である。
 
この日は朝から5番街を通行止めにし、パレードが朝から延々と続いている。アイルランドの民族衣装を身に纏い、緑の旗を振り、バグパイプの音と共にセントラルパークの脇を次から次へとアイリッシュ達が行進を続ける。沿道を埋め尽くすのも大多数がアイリッシュ達だ。ニューヨークはもともと人種、民族が様々に入り混じった街だが、ここまでアイリッシュが多いという現実にただ驚くばかりだ。
ニューヨークの飲み屋(バー)は、かなりの確率でアイリッシュパブで占められている。昔からアイリッシュは酒のみといわれている所以でもある。「セント・パトリック・デイ」には街中のアイリッシュ・パブは真昼間から店の扉を開け、酒のみで溢れかえる。この日ばかりは昼間から酒を飲むことが一般的に見とめられている。年に一度の無礼講ということらしい。
 
昔、「The Committements」という映画が大好きだった。アイルランド、ダブリンの若者達がバンドを組むというどうということのない映画だったのだが、まだ見ぬダブリンという町に生きる同世代の若者達をフィルムを通して見て、どことなく彼らの生活に引かれてしまった。映画公開の後、映画の中で組んだバンド、The Committementsがニューヨークにもライブに訪れたのを覚えている。
 
かつて日本に住んでいた頃、アイルランドがどこにあるのかも知らなかった。IRAがなんなのかも知らなかった。アメリカという多民族国家に住むことによって、今まで遠い世界の出来事だったアメリカ以外の外国、様々な民族、人種に対する興味が自然と沸いてくると同時に、世界が身近に感じるようになったのは事実だ。今日はアイリッシュ・パブにいって飲みつぶれてみるのも悪くないな。

 

 
 
 
 
   


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