「20世紀最後のカウントダウン」

タイムズ・スクエアに待つ人々


タイムズ・スクエアに残る雪



タイムズ・スクエアの人ごみ

 



ベランダから見たハドソン川の花火 (REAL

 

タイムズ・スクエアにはこの日のために世界中から人々が集まり、寒さに震えながらカウントダウンの瞬間を待ち望んでいた。自らのガン告知により次期上院議員選挙を辞退し、結果ヒラリー・クリントンに当選を導いたNY市長、ルドルフ・ジュリアーニが市民と共に待機している。犯罪の暗いイメージに覆われた20世紀終わりのニューヨークを黒人市長ディンキンズから引き継ぎ、みごとに明るいニューヨークを取り戻したジュリアーニも、新年の幕開けを祈るカウントダウンに登場するのはこれが最後だろう。ジュリアーニの隣には、20世紀の不屈のチャンピオン、モハメド・アリも並んでいた。パーキンソン氏病に犯されたかつてのヒーローも、寒さに震えながらその時を待っていた。

31日の昼間から続く氷点下の気温、1日前に降った大雪がまだ道路の脇に積もったまま残っている。ニューヨーク市は最新式の雪溶かし機を導入してタイムズ・スクエアの雪を丸一日かけて撤去し、カウントダウンに備えていた。観光客は当日の夕方から並んでカウントダウンを待つため、5時間あまりもの間、トイレにも行けず、食事もできない。大概のニューヨーカーは暖かい暖房の効いた友人宅などで一杯やりながらTVをつけ、その瞬間を祝うため、このタイムズ・スクエアに並ぶ人は少ない。ただ、たいてい誰もが一度はこのカウントダウンをしに現場に行ったことがあるらしい。一度は見たほうがいいけど、毎年行くものではないということだ。

NYで新年を祝う場合、大きく分けて三つのケースがある。一つ目はもちろん、タイムズ・スクエアに行って、カウントダウン。二つ目は友人宅等でパーティーをしながらTVでカウントダウンを観戦。三つ目は近所のアイリッシュ・バーなどに行って、飲み屋にあつまった客といっしょにカウントダウン。この三つ目が以外に楽しい。ただの客同士、あかの他人なのだが、カウントダウンの瞬間は一心同体、酒も入ってテンションは高い。タイムズ・スクエアで数時間も寒空の中を待つ必要もなく、一杯やりながら楽しく待って、結構盛り上がれる。

カウントダウンの掛け声と共に2000年が終わり、かつて憧れた未来の象徴である21世紀が幕を明けた。 タイムズ・スクエアには紙ふぶきが舞い、周りの人々と我を忘れてキスしあう姿がTVで流れている。この時ばかりは無礼講らしい。去年のミレニアムのクス玉(と呼ぶのだろうか?)より一回り小さいのが落ちて点灯する2001の文字が新しい世紀を伝えていた。ハドソン川では花火が上がり、アパートのベランダでは雄たけびが聞こえてくる。そう、今年はタイムズ・スクエア近くの友人宅でこの瞬間を迎えた。42階から眺めるタイムズ・スクエアの人ごみはなんだかすごく寒そうだった。ベランダに立つと下から歓喜の叫び声が聞こえてきて、テレビのライブ映像と合わせた生のステレオ状態だった。
この騒々しさの中、興奮と歓喜の新しい世紀が始まった。鉄腕アトムの生まれた2003年も後僅かだ。

A Happy New Century.

おまけ------「ハドソン川の花火」(450KB)


New York Nowのインデックスにもどる