「NYのCLUB今昔物語 その2



コパ・カ・バーナにて


 


 

毎月最終木曜日にだけオープンする「コパ・カ・バーナ」が当時のお気に入りクラブだった。ミッドタウンの59か60丁目の5番街とマジソン街の間に位置したこのクラブで、当時のクラブ・プロデュースでは一番人気の「スーザン・バーチン」がプロデュースをし、毎回彼女自身も踊りに来ていた。派手な化粧に奇抜なコスチュームにプロデューサーならではの心意気が感じられた。月に一度しか開かないこのクラブ、その盛り上がりたるや相当のものだった。 地下のフロアに響き渡る西条秀樹じゃない、オリジナルバージョンの「YMCA (本当の英語題は知らない)」がとてもキッチュで大好きだった。
 
クラブの人気が出るかどうかは、当時も今もゲイ達に気に入られるかどうかにかかっているといっても過言ではない。NYのクラブは若者から観光客まではば広い客層だが、毎週クラブに遊びに行くのはほとんどがゲイと言われている。どこのクラブでも大概ゲイナイトがあり、一番盛り上がるのもゲイナイトであるため、流行りのクラブというのは盛り上がるゲイナイトのあるクラブである。
 
ゲイナイトの定番といって思い浮かぶのはやはり18丁目のウエストサイドにある「ロキシー」であろう。毎週土曜の午前1時を回った頃から突然続々と人が増えてくる。広い店内に散らばったお立ち台の上には筋肉むきむきのお兄さん達が裸の上半身を汗で濡らしながら踊っている。思わず女性の口から「もったいない」の言葉が漏れてしまうぐらいかっこいいモデルばりの男が何人もいたりする。きれいなお姉さんが二人でキスしているのを見ると、つい自分でも「もったいない」と呟いてしまうのは男の性かな、やっぱり。
 
NYのクラブでかかる音楽といえば、やはり「ハウス」が一番人気だ。ここ十年、アシッド系が盛り上がったこともあるが、大筋はほとんど変わっていない。ヨーロッパ、日本の人気は結局ユーロビートだが、NYではなぜか受けない。さらに受けないのはHIPHOPで、週に一度ぐらいどこかのクラブでHIPHOPナイトがあるだけのマイナー音楽から抜けきれないでいる。たぶんゲイとHIPHOPは相性が悪いのかな。
 
14丁目の3番街と4番街の間にあった元オペラハウスを改造したクラブ、「パレイディアム」も数年前にとうとうその扉を閉じた。かつてデュラン・デュランのプロモーションビデオやマイケル・ジェイ・フォックスのブライツ・ライツ・ビッグシティをはじめ、数々の映画にも登場した老舗だっただけに、なんだかさびしい気がする。現在この14丁目の跡地には、巨大なビルが建造中だ。

現在でもまだ気を吐いているクラブといえば、どこだろう。クラブに行かなくなって結構たつため、何人かに聞いてみたところ、一番に名前が挙がったのはトライベッカにある「トワイロ」だった。 ジュニア・バスケツが土曜日の明け方に回しているらしい(sutabazukiさん情報)。 彼がまだ皿回し現役だったとはちょっと驚きだ。今はもう「ジプシー・ウーマン」なんてもうかけないんだろうな、きっと・・・

 

 
 


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