"Windom Roseholl Hotel"からの眺め
"Negril"の7マイルビーチ
物売り
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- 高校生の頃、山川健一にしばらくはまり、「星とレゲエの島」を何度も読み返した。南の島の楽園ジャマイカとラスタマンの話だった。思春期の真っ盛りだったこともあり、ボブ・マーレーの曲をカセットで流しながら、まだ見ぬ遠いカリブ海に浮かぶ楽園に想いを馳せたのを覚えている。
モンティゴ・ベイの空港に降り立つと、10月だというのにジリジリとした日差しがTシャツから顔を覗かせている両腕に突き刺さるのを感じた。ニューヨークを立つ時に来ていたジャケットはとっくに脱ぎ捨てている。久しぶりのタラップの階段を降り、焼け付くようなアスファルトの飛行場を歩きながら南の島を実感した。ぼろぼろのマイクロバスにはなぜか日本語の注意書きが貼り付けてある。「ニッポンレンタカー」の文字から想像するに、日本から中古で輸出されてきたことを想像しておかしくなった。
バスは空港から東に向かい、高級リゾートホテルが立ち並ぶ海岸線をゆっくり走る。かろうじて車が行き来できる片側一斜線の道路はアスファルトが削れてぼろぼろのため、バスは何度も跳ねた。
ホテルにつくと、探検隊のような服装をしたドアマンに迎えられた。ロビーにはもちろんけだるいレゲエのリズムがこだましていた。
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- チェックインを済ますや否や、さっそく水着に着替えホテルの前に広がる海に飛び出していった。眼前に広がるこの海の色は言葉では語り尽くせない。真っ白く細かな砂で敷き詰められた砂浜は、遠浅の海の向こうまで続いている。水平線の先にあるであろうキューバは、遠すぎてその影さえ見ることができない。カリブの水は温泉のように暖かく、やわらかだった。
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- 夜には連日ホテルのオープンテラス・レストランでライブが行われる。アレサ・フランクリンのようなはりのあるおばちゃんの歌声が響き渡る中、ジャークチキンをほお張る。カクテルはシャリシャリに凍ったストロベリー・ダイキリを昼間から何杯煽っただろうか。たいまつと共に現れた4人組みが、リンボーダンスをはじめた。鳴り響く鼓の音と共に平行に張られた竹の棒はこれでもかというほど下がっていく。昼間には吹かなかった涼しい風がゆっくりとたいまつの炎を揺らしていた。
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- 続く・・・
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