「マイケル・ジャクソン 30周年記念コンサート



ここ十数年というもの、マイケル・ジャクソンの存在などすっかり忘れていた。かつてMTVを夢中になって見ていた頃、いつも話題のミュージックビデオを提供してくれたマイケルはバンドマンとしては嫌いだったが、エンターテイナーとしては決して嫌いではなかった。エディ・バンヘイレンのギターフレーズが耳に残ったビートイットもかっこよかったものだ。

そのマイケルがNYのマジソン・スクエア・ガーデンにやってきた。もう芸能生活30周年とはちょっと驚きだ。今回のコンサートに行こうと思ったきっかけはたくさんのアーティストが一同に会するのを新聞で目にしたことだ。ブリットニー・スピアーズ、NSync、マーク・アンソニー、レイ・チャールズ、ホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー、クインシー・ジョーンズ、モニカ、シャギー等、通常考えられないほどのメンバーが終結するのだ。

MSGについてすぐ目の前に人だかりがしている。前にいってみると、そこにはボディ・ガードにかこまれたマイケルが歩いていた。コンサートが始まるまでの間、座席を隔てている通路を付き添いのさす黒い雨傘とともに会場をマイケルが歩いている。握手も写真もとり放題だ。コンサートの開始前にアーティストが客席の通路を歩いて観客と触れ合うなど見たこともない光景に驚いた。

開始予定時間を1時間以上も過ぎてからいよいよショーがはじまった。ステージではなく客席側に座ったマイケルは、エリザベス・テーラーと腕を組んで手を振っている。隣にはホーム・アローンで主人公役を演じたカルキンの姿が見える。挨拶に立ったのはサミュエル・L・ジャクソンだ。この他にもマーロン・ブランド、クリス・タッカーとハリウッド俳優が挨拶にステージにたったから驚きだ。

 

 

 



たくさんのアーティストが出るので、大概はみな1曲ずつの演奏になる。生で聞くホイットニー・ヒューストン、グロリア・エステファンの声は圧巻だった。もうよぼよぼのレイ・チャールズもピアノを弾きながらいつものしゃがれた声で歌う。NSyncの登場に若い女性の黄色い声が木霊していた。

前半は格アーティストがそれぞれステージで歌い、客席に座るマイケルに手を振って去っていく。いよいよ後半はマイケルの出番となった。悲鳴に近い観客の叫びに呼ばれてステージに登場したマイケルは、十年たってもやっぱりマイケル・ジャクソンだった。切れのいいブレイク・ダンスを踊り、”フーッ”の掛け声を合間にはさむ。客席への言葉は常に”アイ・ラブ・ユー”だ。往年のヒット曲である”ビリー・ジーン”を歌う前に、あの帽子を左手に持ち、右手にはきらきら光るあの手袋をはめた瞬間には、会場のいたるところから拍手喝采だった。 ギタリストを伴ってはじめた曲はもちろん、”ビート・イット”。懐かしさに思わず自分の顔がほころぶのがわかる。なんといってもマイケルといえばあのムーン・ウォーク。ステージの右へ左へ軽やかなムーン・ウォークで行き来すると会場の声は一際高くなる。

最近のセクシーなアーティストの代表格にのし上がったブリットニー・スピアーズはマイケルとの競演も他ではみれない組み合わせで、なかなかよかった。ペプシのCMが大好きな人にはたまらないだろう。(実マイケル・ジャクソンじゃなくてブリットニーを見に行ったという噂を陰でささやかれていたりするのは自分だけではないかも)


 

 

アンコールも終わってコンサートも終了かと思っていると、ステージに続々と人が並びだした。気が付くと今日の参加者達が勢ぞろいだ。クインシー・ジョーンズが指揮者のごとく一人前に立つ。どこかで見た光景だなーとふと考えているうちに、歌が始まると、なんだったのかすぐにわかった。曲は”We are the world”だった。いつのまにか今日出演していなかったケニー・ロジャース、ディオンヌ・ワーウィック、オノ・ヨーコまでが登場して歌っている。これであとブルース・スプリングスティーン、ボブ・ディランがいたら完璧だったのだが、さすがにその二人の姿は残念ながらなかった。

ステージの進行自体は段取りが悪く、時折ブーイングも聞こえたりしていたが、盛りだくさんのコンサートだった。80年代に聞いた青春時代のアメリカン・ポップスが心に甦った夜になったのはいうまでもない。バブルス君なき後もマイケルは相変わらずの”King of Pops”だったようだ。




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